年金積立不足の新会計基準

年金の積み立て不足を バランスシート  に全額反映させる上場企業の新しい会計基準が、2014年3月期の連結決算から適用されるという。多額の積み立て不足を抱える企業の中には、自己資本比率が低下するところもある。 新基準を機に、運用や給付の見直しなど年金財政の健全化に動く企業も出てきそうだ。 現在の会計基準では、年金の積み立て不足は 10年程度の期間で毎期分割して費用に計上し、総額は決算書外の注記事項にとどめている。こんどの新基準では、従来の方法に加え、積み立て不足を全額負債に計上し、一方で自己資本を減額することで、B/S に反映させるという。 なお、新基準の適用は連結決算のみという。 更に、ややこしくしているのは、税効果会計(将来支払う税金分の調整)が加わることだ。たとえば、300億円の積み立て不足があった場合、積み立て不足額が負債の増加 として300億円計上されるとともに、実効税率 40% とすれば、資産(繰延税金) の増加額 120億円が計上され、自己資本の減少額は差し引きで 180億円となる。 したがって、今後年金の運用利回りが改善せず、積み立て不足額を減らせない場合には、自己資本の増強や年金給付の減額が課題になるはずだ。