中国で稼ぐ OKI のATM

ATM の中国への納入開始は 2005年で、その後出荷は年々伸び、現在中国で稼働する OKI製の ATMは 5万台を超えた。 ATMの出荷台数は 2010年3月期に中国向けと国内向けとが逆転し、その後その差が一段と開いた格好だ。しかし、中国での ATM事業が軌道に乗り始めた2008年頃は苦境の中にあったという。 一時は稼ぎ頭だった半導体事業も投資競争について行けなくなったことや、金融危機で情報システムの受注も急減し、2009年3月期には連結最終赤字が 450億円に達した。株価も 2008年12月には、51円と上場来安値をつけた。  流れを変えたのは、その後の経営陣が推し進めた「選択と集中」だ。ATM やプリンター、クラウド など同社の強みを残し、また将来有望な 4分野に事業を絞った。 2011年3月期増資と減資を同時に行い、繰越損失の償却と 優先株300億円での資金調達を新たに行った。更にその期のうちに 1千人の人員削減をした。その結果、前期の最終損益は 80億円の黒字に転換した。 「利益を出せる体質に転換した」 とはいえ、優先株が残る限り、普通株の配当はまだ先のようだ。 また、同社は減資の際、株式消却を行わず、資本金と資本準備金をその他の資本剰余金に振り替え、その後に利益剰余金の振り替えを行ったため、1株当たりの純資産価額が低下した。