• カテゴリー別アーカイブ 日本を考える
  • 年金積立不足の新会計基準

    年金の積み立て不足を バランスシート  に全額反映させる上場企業の新しい会計基準が、2014年3月期の連結決算から適用されるという。多額の積み立て不足を抱える企業の中には、自己資本比率が低下するところもある。 新基準を機に、運用や給付の見直しなど年金財政の健全化に動く企業も出てきそうだ。 現在の会計基準では、年金の積み立て不足は 10年程度の期間で毎期分割して費用に計上し、総額は決算書外の注記事項にとどめている。こんどの新基準では、従来の方法に加え、積み立て不足を全額負債に計上し、一方で自己資本を減額することで、B/S に反映させるという。 なお、新基準の適用は連結決算のみという。 更に、ややこしくしているのは、税効果会計(将来支払う税金分の調整)が加わることだ。たとえば、300億円の積み立て不足があった場合、積み立て不足額が負債の増加 として300億円計上されるとともに、実効税率 40% とすれば、資産(繰延税金) の増加額 120億円が計上され、自己資本の減少額は差し引きで 180億円となる。 したがって、今後年金の運用利回りが改善せず、積み立て不足額を減らせない場合には、自己資本の増強や年金給付の減額が課題になるはずだ。


  • 増え続ける社会保険料を考察

    現在 企業と受給者が折半で負担している社会保険料は、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料で これら をあわせると、28.59%に達する。年金給付や医療費の膨張により 2025年度の保険料は今より 更に 15%増え 年収の 3割を超えるという。 自動的に給与から天引きされる保険料の負担増加は「見えない増税」 であり 厄介なことに、労使で折半するこの社会保険料は上昇の終わりがみえない。 社会保障費を賄う負担は 12年度の 101兆円から 25年度には 146兆円に膨らむという。増加分 45兆円のうち保険料 6割・税金 4割で 保険料は 25兆円も増える。増税分 20兆円より実は大きいのだ。 保険料負担者は、現役世代であり 本来負担に見合う受益が原則。だが現実には、健康保険料の約4割を高齢者医療制度への支援金に回しており、世代間の仕送りで凌いでいる状態だ。  そして このままでは、現役世代の保険料率だけが上がっていくだけだ。


  • インフラ老朽化の対応策を考える

    日本は高度に整備された社会基盤網を背景に、高い経済成長と安全・安心で快適な暮らしを実現してきた。しかし、その足元を支えてきた インフラ が今転換期を迎えようとしている。 首都高の老朽化対策の検討が始まったが、インフラ の「高齢化」は今後全国的に問題になるという。日本の インフラは今後 20 年以内に、建築後 50 年以上たつ社会資本の割合が 50% 以上になるという。更に 建築物のなかには今日の基準に照らし十分な耐震性要件を備えていないものが相当あるという。 今のままでは、インフラ の更新費用は 2040年に現在の 5倍にも達し、更に、公共投資額が今と同じなら維持管理・更新でほぼ使い切り、新規に建設される資金はなくなるという。 1,000兆円もの政府債務があるのだから、使えるカネは限られている。 公共設備の老朽化対策については、発想の転換やこれを打開する新たな知恵が必要という。しかし、現実には新しく建設する高速道路や新幹線計画がまだまだある。 日本の政治家は問題を先送りすることしか考えていないらしい。