• カテゴリー別アーカイブ 日本を考える
  • 減速する中国の経済成長率

    中国は 30年余りにわたって 10%成長を続けてきたが、今後、中長期的な成長率は低下の方向だ。世界経済のけん引役となってきた中国景気の減速懸念だけに、気になるところだ。 中国は過大な投資で国内需要を上回る生産能力をつくりあげ、輸出を テコ に世界第 2位の経済大国にのし上がったのだが、都市と農村の収入格差は 3倍に開き、不動産価格は高騰するばかり。高速成長のなかで効率の悪い企業も温存され、経済社会の歪みは膨らんだ。 今後、外需不振による成長鈍化も考えられるが、2008年のリーマン・ショック の直後に実施した 50兆円にも及ぶ大型経済対策を打ち出す気配は今の中国にはないという。 少子高齢化で労働人口は 2013年に減少に転じると言われるなか、金融政策や減税などの施策を組み合わせ、内需主導型の経済に転換する道を探っている。 ギリシャ に端を発した欧州危機が長引くなか成長維持は容易ではない。「いま 重要なのは投資の合理的な伸びの促進」というが、そのためには、内需拡大による成長モデル に転換する必要がある。 バブル やインフレ を押さえつつ、政策金利を引き下げながら、安定成長を維持するのは容易なことではないといえる。


  • OKIの株価を検討する

    2012年3月期の売上高 4,281億円 法人税等引当額 26億円 当期純利益 80億円、 純資産額 675億円、 1株当たり当期純利益 9.14円 1株当たり純資産額 49.36円 普通株式配当 0円 優先株式配当 1株当たり 44,047円 総額13億2千万円という。優先株 1株当たりの配当利回りは実に 4.4%に達する。また、株主資本等変動計算書をみれば、優先株 300億円のうち 150億円を資本金に、150億円を資本準備金に計上したことが読み取れる。更に、欠損金補填額は 915億円という。 ここで疑問なのは、減資をしてまで、欠損金の補填をしておきながら、これほど 多額の法人税等引当額の計上をするのはどうしてか。


  • 中国で稼ぐ OKI のATM

    ATM の中国への納入開始は 2005年で、その後出荷は年々伸び、現在中国で稼働する OKI製の ATMは 5万台を超えた。 ATMの出荷台数は 2010年3月期に中国向けと国内向けとが逆転し、その後その差が一段と開いた格好だ。しかし、中国での ATM事業が軌道に乗り始めた2008年頃は苦境の中にあったという。 一時は稼ぎ頭だった半導体事業も投資競争について行けなくなったことや、金融危機で情報システムの受注も急減し、2009年3月期には連結最終赤字が 450億円に達した。株価も 2008年12月には、51円と上場来安値をつけた。  流れを変えたのは、その後の経営陣が推し進めた「選択と集中」だ。ATM やプリンター、クラウド など同社の強みを残し、また将来有望な 4分野に事業を絞った。 2011年3月期増資と減資を同時に行い、繰越損失の償却と 優先株300億円での資金調達を新たに行った。更にその期のうちに 1千人の人員削減をした。その結果、前期の最終損益は 80億円の黒字に転換した。 「利益を出せる体質に転換した」 とはいえ、優先株が残る限り、普通株の配当はまだ先のようだ。 また、同社は減資の際、株式消却を行わず、資本金と資本準備金をその他の資本剰余金に振り替え、その後に利益剰余金の振り替えを行ったため、1株当たりの純資産価額が低下した。