公的年金制度と資金運用

  2011年は、公的年金制度の基本的な形ができて、50年目の節目にあたる。それは国内に住む全ての人が公的年金に加入することであり、「国民皆年金」 と呼ばれる。 世界的にみても「皆年金」 を実施する国は少ない。  しかし、近年は この制度から漏れて、老後に年金がない人が増えつつある。 更に 派遣など、厚生年金に加入しない非正規労働者も増えている。 この人達は収入も少なく、毎月国民年金保険料を支払うのもままならない。この人達を「皆年金」にどのように取り込むかも問題だ。   一方、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、12月2日 2011年7月~9月期の運用実績を発表した。 欧州債務危機に伴う世界的な株安と円高の進行で、株式と外国債券の運用が振るわず、3兆7,300億円の損失を計上した。当然ながら 運用資産も減少した。 そのことは、年金給付に直ちに影響はないが、運用資産が目減りすれば運用収益も減少することとなる。  また、年金基金や保険会社などの国内機関投資家は、海外の不動産投資を拡大している。株式との相関性が低い資産の組み入れ比率を高めることで、運用成績の安定性を高める狙いがあるのだ。 株式や債券の運用だけでは予定利益率の確保は困難といえる。