• 米国産牛肉 輸入緩和拡大

    日本ではBSEの問題後、2005年冬以降月齢20ヶ月以下に絞って牛肉輸入を再開していたが、米国からの対日輸出が大きく減少したため、米議会は日本に基準の見直しを要請していた。それを受け、日本では輸入対象の月齢を、2月1日から30ヶ月に拡大するという。TPP協議参加を巡る交渉で、米側は牛肉問題を重視していただけに今回の日本の輸入緩和措置により一定の前進がみられたといえる。 国内の肉用牛は10桁の個体識別番号で出生から屠畜、流通、店頭販売に至るまでトレイサビリテイが確立されており、しっかり管理されているが、米国の肉用牛はこれらの管理が義務化されていないため、出生記録すらない場合があるという。  国内の牛肉生産量は現在、516,000㌧で中長期見通しを見てもそれほど生産量が増えることは考えにくい。 とすれば、今後見込まれる消費の増加は輸入の増加で補うこととなるだろう。国内の消費者を裏切らないためにも、しっかりした生産管理を米国の肉用牛に求めるべきだ。


  • 中国の寒波、オーストラリアの酷暑

    道路や港湾の凍結で物流がマヒし、食品や鉄鉱石の価格が上昇し、暖房用の石炭使用が増え記録的なスモッグに覆われ、工場の操業や車の通行を制限する事態の中国では40年ぶりの寒波という。寒波をもたらす要因は一過性でないという指摘もあり、中国がこれから長期的に寒波に悩まされる可能性がある。北京や天津など中国北部の玄関口である渤海湾北部では氷の厚さが40㎝に達したところもあるという。寒波の影響は畜産、農作物の輸送に支障をきたすばかりでなく、資源採掘現場にも影響している。それは、中国の鉄鉱石は、質が悪いため水処理しなければならないが、水が凍結して使えない状態という。 北極圏の寒気団の南下は北極の気温の変化によるによるものとの説もあるがはっきりしたことは解明されていない。  南半球にある現在夏のオーストラリアでは、記録的な酷暑に見舞われているという。シドニーでは、45.8cの気温を観測。人口の多い豪州中・南部を中心に山火事の被害も広がっているという。


  • 世界の天候異変で農作物不作

    猛暑と熱波の影響で米国土の 6割が干ばつに見舞われており、 トウモロコシ と大豆の生産量に甚大な被害をもたらしそうだ。 小麦は 生産地 ロシア やウクライナの黒海沿岸部が、高温と乾燥した気候に見舞われ、ロシア は今年の生産量が対前年比で 20% 減少するという。 サトウキビ の主産地である インド ではモンスーン期の降雨が不足気味で不作懸念だ。 コーヒー 豆は、多雨による産地ブラジル で収穫遅れのようだ。 もともと低水準の在庫であったところに、これらの天候異変を意識した先物市場での投機マネー の流入により穀物等の先物価格が急騰しているという。このことは、今後 世界的な食料価格高騰を招く恐れがあり、減速感を強める世界経済の新たな不安要因となりそうだ。 農産物の値上がりは、国内の食品価格にも影響しそうだ。 なかでも畜産飼料に使われる トウモロコシ は7~9月期に前期比 2%値上がりしたのに続き10~12月期も値上がりするのは必至という。今後、食肉や卵など幅広い食品の値上げにつながる可能性がある。